《アルメニアン・ダンス》の源流

おしらせ(2023年6月)

 申し訳ないことに、以下の内容は10年以上前の古いものです。新刊『アルフレッド・リードの世界 改訂版』(スタイルノート刊)で完結編に相当する内容を公開してありますので、ぜひそちらをご参照ください。

 今後このページをアップデートするか全削除するかを検討します。

 

はじめに

パート1
パート1

 アルフレッド・リード作曲の《アルメニアン・ダンス》。「パート1」は1973年にサムフォックス社から、「パート2」が1978年にバーンハウス社から発売されました。

 私が『アルフレッド・リードの世界』を執筆していた1980年代、リードは《アルメニアン・ダンス》に用いた民謡について「民謡集を返したので何も残っていない」と語っていましたし、私も日米の国会図書館等を検索しても手掛かりがなく、この件はすっかり諦めていました。

 

 長い時を経た2002年2月、山形県内の高校教諭、大隅晃弘先生からこの曲の原曲についてお問い合わせがあり、すでにインターネットが普及したり、ゴミダスのCDや文献も増えてきたので、再度取り組んでみようと思い立ちました。大隅先生の調査のおかげで、日本アルメニア友好協会の会長で和光大学の中島偉晴先生が一部の楽譜を所有していることが分かり、2002年9月に中島先生宅を訪問しました。(所属等はすべて当時)

2014年、中島先生とアルメニアン談義パート2(笑)
2014年、中島先生とアルメニアン談義パート2(笑)

 中島先生と奥様のメラニアさんにはご自宅の書庫からオリジナルの楽譜を提供を受け、歌の背景や歌詞やアルメニアの地理・歴史・文化・言語などについてもご教示いただきました(右の写真は2014年に再会した時の一コマ)。

 これとは別に、ロシア民謡の方面から探っていき、恵泉女学園大学の田付茉莉子先生に出会い、お宅にもお邪魔し、貴重な楽譜を提供されました。下の楽譜で歌詞がロシア語のものは田付先生からいただいた資料です。
 それらの当時、リードは存命中でしたが、この楽譜をご本人に見せて話し合うチャンスはありませんでした。リード自身が歌詞の内容まで熟知していたとは思えませんが、オリジナル民謡の旋律やその歌詞を理解することもまた大事なアプローチかと思います。


  2007年頃、NHKからテレビ番組製作のために電話取材を受けました。「響け! みんなの吹奏楽」という番組の1つで、須川展也さんが指導する学生さんたちが中島先生ご夫妻を訪ね、オリジナルの民謡を理解して演奏に生かすという設定でした。微力ながら協力できたことはたいへん光栄です。


パート2
パート2

《アルメニアン・ダンス》の構成と民謡

 パート1

  あんずの木 Tzirani Tzar (The Apricot Tree) 4/4拍子

  やまうずらの歌 Gakavi Yerk (Partridge's Song) 4/4拍子

  オーイ、ぼくのナザン Hoy, Nazan Eem (Hoy, My Nazan) 5/8拍子

  アラガツ山 Alagyaz (Alagyaz) 3/4拍子

  ゆけ、ゆけ Gna, Gna (Go, Go)  2/4拍子

 パート2

  風よ吹け Hov Arek (The Peasant's Plea) 3/4拍子

  クーマル Khoomar (Wedding Dance) 6/8拍子

  ロリ地方の農耕歌 Lorva Horovel (Songs from Lori) 複数の拍子

   (隠れ素材… キリキア Cilicia 6/8拍子)


民謡を収集したコミタス修道士

1969年、旧ソ連で発行の切手
1969年、旧ソ連で発行の切手

 《アルメニアン・ダンス》で用いられた旋律は、アルメニアのクラシック音楽の父と呼ばれるゴミダス修道士 Gomidas Vartabed (1869~1935)が20世紀初頭に収集した民謡やみずから作曲した歌です。

 本名はソゴモン・ソゴモニアン(Soghomon Soghomonian)。25歳の時、尊敬するゴミダス大司教(在位 615〜628)にあやかり、自分からゴミダスと名乗るようになりました。

 

 Vartabed は、アルメニア正教会の修道士の中でも特に高位を表す称号です。日本の吹奏楽界では《アルメニアン・ダンス》の解説を通して「ゴミダス・ヴァタベッド」と紹介されました。ところが、演奏会プログラム等でヴァタベッドを姓(ファーストネーム)と勘違いした「G・ヴァタベッド」とか「ヴァタベッド」という誤記が一部に連鎖して広がっていきました。誤解されない良い方法はないものでしょうか? ヴァタベッドという位の日本語は掌院ですが、これは一般に普及しやすい言葉と思えません。そこで若干不正確を承知で、私は試しに修道士という日本語を使って様子を見ようと考えました。

 

 もう1つの問題。ゴミダスではなくコミタス(Komitas)と呼ぶ方々がいます。というより多数派のようです。その場合、称号のほうも微妙に違ってヴァダペット(Vadapet)と書かれています。なぜでしょう?

 実は、アルメニア語には大きく2つの流れがあり、アルメニア語の同じ綴りが、西アルメニア文語ではゴミダス、東アルメニア文語ではコミタスと発音されるのです(表)

 

  西アルメニア文語 東アルメニア文語

基盤となる

方言

コンスタンチノポリスの方言 アララトの方言

使用する

主な人々

トルコ、レバノン、シリア、フランス、南アメリカ・北アメリカ

のアルメニア人と子孫

アルメニア、イラン、グルジア(2009年よりジョージア)、アゼルバイジャン、ロシア

のアルメニア人と子孫

ԿՈՄԻՏԱՍ」の発音 ゴミダス

コミタス

その他の発音の違い(例) Gakavi Yerk(ガカヴィ・イェルク)
Alagyas(アラギャズ)
Gliigia(ギリギア)
Kak'avi erg(カカヴィ・エルグ)
Alakiaz(アラキャズ)
Kilikia(キリキア)
ドン・アスカリアン監督の映画『コミタス』のビデオ
ドン・アスカリアン監督の映画『コミタス』のビデオ

 アルメニアの人々やその子孫は世界各地にその言語や文化を伝え、そのうちアメリカには西アルメニア文語を使う方々が多く住んでいます。作品を委嘱したハリー・ビジャン(アルメニア語のベギアンに相当するが、本人は英語式にビジャンと名乗っていた)がリードに「ゴミダス」と紹介したことも、《アルメニアン・ダンス》の楽譜で各民謡のタイトルが西アルメニア文語の綴りなのも当然です。

 ただ、これは1980年代から私も気づいていましたが、現在は世界的に見れば現地(アルメニア)の発音を尊重した コミタス のほうが主流で、ゴミダスは少数派です。そのため、他の資料(特に英文資料)との整合性も考慮し、当ホームページもこの後はコミタスという表記に移行いたします

 

【リンク】

 コミタス・ヴァーチャル博物館は Virtual Museum of Komitas Vardapet

 コミタスの楽譜・書籍購入は ArmeniaBooks.com

オリジナルの民謡と歌

 《アルメニアン・ダンス》という標題ですが、そこには踊りを伴わない民謡やコミタスが作曲したわらべうたが含まれています。率直に言えば、舞曲が含まれる可能性は低いと思います。中島先生の奥様のメラニアさんに2014年に会った際には、「この曲に登場する歌に踊りはついていない」と明言しました。ただ、ハリー・ビジャンは「ゆけ、ゆけ」が踊り歌だと述べており、そこは検証が必要です。
 以下に、それらオリジナル楽譜をPDFでご覧に入れます。コミタスの著作権の保護期間は終了したと理解して掲載していますが、疑義がある場合はご指摘ください。また、これらを収集・公開するまで多大な努力を要しましたので、ご利用の際にはぜひご一報ください。旧ホームページで2003年に公開して以来、複数の団体・個人から演奏会プログラム等への掲載希望があり、快く許諾しています。また、各団体から掲載プログラムを頂戴し、大事にファイルしてあります。

パート1

あんずの木 Tzirani Tzar (The Apricot Tree)

© copyright by Sam Fox Publishing Company, Inc.
© copyright by Sam Fox Publishing Company, Inc.

 「あんずの木」は1904年の採譜で、3つの部分からできている。力強い冒頭やリズムの躍動感、独特の節回しによって、たいへんに表情豊かな歌になっている。(スコアの解題より)

「あんずの木」の原曲
『ハイエルキ・ゴハールネル(歌の宝庫)』アルメニアのソヴェタガイグロフ出版社、1982年発行より。
1tzirani1982.pdf
PDFファイル 283.5 KB

「あんずの木」の歌詞大意

実がならないようにして 枝を動かさないで

あんずの木のそばを通るたびに 私の悲しみがまた出てくるから

山が涼しくなってきて 私の気持ちは沈んでいく

この年 二度と経験したくないたいへんな悲しみが私にふりかかった

庭を大事に世話したのに

私の悲しみを和らげるために 木の葉がすべて枯れてしまった

私が座る石がない 私の悲しみを癒す薬はない

【解説】原曲は (1) Lento, Con Affetto (2) Meno lent (3) Lament ma tranquillo (4) Piu lent, con dolore と次々に変化し、《アルメニアン・ダンス》では(1)と(2)を組み合わせて用いられているようです。

【Youtubeより】

 アラム・アヴェチャン編曲の演奏

やまうずらの歌 Gakavi Yerk (Partridge's Song)

© copyright by Sam Fox Publishing Company, Inc.
© copyright by Sam Fox Publishing Company, Inc.

 「やまうずらの歌」はコミタスが作曲した歌で、1908年にグルジア*のティフリスで出版された。最初は独唱と児童合唱によるもので、後にピアノ伴奏付き独唱のために編曲している。やまうずらのヨチヨチ歩きを表現した素朴で可愛らしいメロディである。(スコアの解題より)

*注:2009年よりジョージア

「やまうずらの歌」の原曲1(独唱+児童合唱)
1908年発行のオリジナルです。独唱が2小節先導し、それを児童合唱が追いかける形が分かるでしょう。貴重な表紙つきですが、残念ながら曲は途中までです。
2gakavi1908.pdf
PDFファイル 1.0 MB
「やまうずらの歌」の原曲2
1993年にイェレヴァンのアナヒータ出版から刊行された『イェルカラン(歌集)』より。エコーは略記されたのでしょう。
2gakavi1982.pdf
PDFファイル 250.6 KB

「やまうずらの歌」の歌詞大意

暗い雲の中からお日様が出て
山頂や山の花があいさつしてくれた

かわいい かわいい

あなたの巣をつくったユリやスイセン

あなたの巣は露で光り あなたはいつも歌いながら生きている

あなたの柔らかい羽 小さなくちばし

いつも赤い足で 小鳥と一緒にヨチヨチ歩きまわり

あなたが散歩に出ると 花や山がいつも明るくなり みんなが喜ぶ

【解説】アルメニアの学童唱歌で、作詞はアルメニアの有名な詩人とされている。原曲1を見ると、《アルメニアン・ダンス》の2小節ごとの繰り返し(エコー)はコミタスの「独唱+児童合唱」に沿っていることが分かる。

【Youtubeより】

 イザベル・バイラクダリアンの歌声

 聖ヴァルタン・キャンプに参加した子どもたちの歌声

 別の子どもたちの振り付き

オーイ、ぼくのナザン Hoy, Nazan Eem (Hoy, My Nazan)

© copyright by Sam Fox Publishing Company, Inc.
© copyright by Sam Fox Publishing Company, Inc.

 「オーイ、ぼくのナザン」は、コミタスの編曲による合唱版が1908年に出版されている。この快活で軽やかな愛の歌は、若者が恋人のナザン(少女の名)を称えて歌う様子を描いている。舞曲のリズムや節回しがあり、印象的で覚えやすい旋律になっている。(スコアの解題より)

「オーイ、ぼくのナザン」の原曲
3nazan.pdf
PDFファイル 432.5 KB

【解説】一部の吹奏楽関係者の間で「アルメニアには5拍子の舞曲がある…」とささやかれたものですが(笑)、独特な5/8拍子はリードのアイディアです。拍を詰めたことで生き生きとしたリズムになったと思います。後半の鮮やかな転調を伴う展開も含め、「パート1」の中ではリードの処理の点で特にオリジナリティの高い部分です。

【Youtubeより】

 イザベル・バイラクダリアンの歌声
 独唱と男声合唱

アラガツ山 Alagyaz (Alagyaz)

 コミタスは「アラガツ山」を最初ピアノ伴奏付き独唱曲として発表し、後に合唱曲に編曲している。有名なアルメニア民謡の1つで、息の長いメロディはこの山と同様に堂々としている。(スコアの解題より)

「アラガツ山」の原曲1(独唱)
歌詞はアルメニア語。『ハイエルキ・ゴハールネル(歌の宝庫)』アルメニアのソヴェタガイグロフ出版社、1982年発行より。
4alagyaz1982.pdf
PDFファイル 35.0 KB
「アラガツ山」の原曲2(合唱)
女声3部合唱。歌詞はロシア語に訳されている。『コミタス:アルメニア人気歌集』комцтас: армянски народные песни、ソ連のムズギーズ出版社、1958年発行より。
4alagyaz1958.pdf
PDFファイル 60.2 KB

「アラガツ山」の歌詞大意

アラガツ山は霧の中で眠っている。

兄が馬に乗り、私の恋人の元にやって来た。

お母様! 雨が降って、服が濡れてしまった。

お日様がそれを乾かし、赤いバラの花が咲いた。

【解説】女性が歌う愛の歌。アルメニアでは5月に若い女性が占いをする祭があり、その際に歌っている可能性がある。リードは原曲の旋律をほぼそのまま使っている。

【Youtube】

 演奏者名不明

 

 

ゆけ、ゆけ Gna, Gna (Go, Go)

 「ゆけ、ゆけ」は、ユーモラスで軽快な旋律で、コミタスは対照的にゆっくりした「水瓶(みずがめ)」Kuzhn Arra という歌とこの歌を交互に歌っていた*。同じ音型の繰り返しは、笑っている様子を音楽的に描いている。この歌もレシタティヴ風になっている。(スコアの解題より)
*注:コミタスが歌った録音が現存し、それに言及。《アルメニアン・ダンス》で〈水瓶〉は使われていない。

「ゆけ、ゆけ」の原曲
混声6部合唱(SATTBB)。歌詞はロシア語に翻訳されている。『コミタス:アルメニア人気歌集』комцтас: армянски народные песни、ソ連のムズギーズ出版社、1958年発行より。
5gnagna1958.pdf
PDFファイル 161.8 KB

「ゆけ、ゆけ」の歌詞大意

あなたは背が高い あなたのためなら死んでもいい

あなたは月のように輝いていて 美しい声をしている

あなたの愛は情熱的 あなたの美しい胸が好き

あなたの甘いキスが好き…

【解説】

 

【Youtube】

 コミタス自身の歌声(水瓶〜ゆけ、ゆけ)

 演奏者名不明(水瓶〜ゆけ、ゆけ)

パート2

風よ吹け Hov Arek (The Peasant's Plea)

 「風よ吹け」は叙情的な歌で、一人の若者が風を吹かせて苦しみから解放するよう山に祈っている。繊細なメロディが豊かな表情を生んでいる非常に感動的な歌である。(スコアの解題より)

「風よ吹け」の原曲
1982年にアルメニアのソヴェタガイグロフ出版から刊行された『ハイエルキ・ゴハールネル(歌の宝庫)』より
6hovarek.pdf
PDFファイル 247.5 KB
「風よ吹け」の原曲B
Silvat Poladian: Komitas Vardapet and His Contribution to Ethnomusicology (original 1972), Vrej Nersessian (ed.) Essays on Armenian Music. 1978
6hovarek2.pdf
PDFファイル 203.8 KB

「風よ吹け」の歌詞大意

山々よ、風をくれ、頼むから風をくれ。

私の苦しみをいやしてくれ。

山には風がない。私の苦しみをいやしてくれ。

雲よ、雨を降らせ、海にしてくれ。

この悪人のために、お日様を大地に沈めてくれ。

クーマル Khoomar (Wedding Dance)

 コミタスは「クーマル」*をソプラノ独唱を伴う混声合唱用に編曲している。この活気に満ちた軽快なダンスの歌ではアルメニアの村の楽しい情景が描かれており、その中で2人の若者が出会って結ばれる。元気のよいリズムパターンが特徴である。(スコアの解題より)

*注: 東アルメニア文語では「フーマル」

「クーマル」の原曲
ソプラノ独唱+混声6部合唱(SATTBB)。歌詞はロシア語に翻訳されている。『コミタス:アルメニア人気歌集』комцтас: армянски народные песни、ソ連のムズギーズ出版社、1958年発行より。
7khoomar.pdf
PDFファイル 99.3 KB

「クーマル」の歌詞大意

【解説】

 上記の原曲は短く、リードはかなり自由に展開している。

【Youtubeより】

 Komitas-Khumar (Dazed)

 Vocal Karyak Komitas Khumar

 

ロリ地方の農耕歌 Lorva Horovel (Songs from Lori)

ハリー・ビジャン(1988)に基づく5つの素材
ハリー・ビジャン(1988)に基づく5つの素材

 「ロリ地方の農耕歌」の複雑で即興的な旋律については、コミタスによる詳細な研究がある*。豊かなリズム構造や旋律構造の中には、キリスト教以前の時代の要素も見つかっている。農夫や、農夫が働いているときの肉体的・精神的な存在感を思わせるこの歌は、耕牛への命令や農耕中のかけ声と同じように労働の中から自然に生まれたものである。この美しい歌の自由に流れる旋律、リズムや音程の構造のなかに、そうした印象が常に反映されている。(スコアの解題より)

*注:Komitas: Armenian Sacred and Folk Music, Curzon

 

「ロリの歌」の原曲
8horovel.pdf
PDFファイル 1.2 MB

【解説】

 ハリー・ビジャンは楽曲分析(1988年)の中で「ロリの歌」が5つの素材(material)からなるとしています(上記譜例)が、それぞれの素材の出典には触れていません。80年代に私がリードに出典を尋ねた時の答えは「直感的に書いたからね〜」だけでした。真相は謎に包まれています。

 ただ、長年の調査の結果、第3素材はPDF楽譜を示したように見つかりました。第4素材も「キリキア」と分かっています。今のところ、残る素材はリードが自由に創作したのではないかと言うしかありません。皆様のお知恵を拝借したいところです。

【Youtubeより】

 独唱Կոմիտաս. Լոռվա Գութաներգ(1分10秒〜)
 独唱Լոռվա հորովել (Lorva horovel) - «Ակունք» համույթ(1分30秒〜)
 独唱 Armen Mkoyan Lorva gutanerg Horovel Komitas(2分00秒〜)

 混声合唱Komitas - Loru gutanerg Կոմիտաս- Լոռու գութաներգ(1分55秒〜)

 

 

隠れ素材 キリキア(ギリギア)

隠れ素材「キリキア」
適当な楽譜が見つからず、とりあえずの例を挙げておきます。
Giligia.pdf
PDFファイル 270.0 KB

【解説】

 「ロリの歌」の第4素材は、アルメニアで人気の叙情歌「キリキア(ギリギア)」です。リードは「キリキア」のメロディを《アルメニアン・ダンス》と《ギリギア》の両方で使いました。《アルメニアン・ダンス》は「ロリの歌」の緩徐部に「キリキア」を置いたことで全体のテンションを和らげ、叙情性を高めています。絶妙な使い方だったと私は思います。なお、同じ歌が《ギリギア》ではより自由に展開されていますので、聞き比べてみるのも一興です。

 曲名の発音は東アルメニア文語で「キリキア」、西アルメニア文語で「ギリギア」で、英語圏では前者が主流です。

【Youtubeより】

 Cilicia (instrumental)

 Kilikia Best Armenian Song
 Armenian Song Giligia (Vartuhi Khachatrian)
 Cilicia (Mister X)
 ‪Giligia (Lousine Zakarian)‬

【サイト】

 7種類のアレンジ収録、歌詞つき(アルメニア語と英語)

 

お宝探し体験コーナー

 コミタスが収集したアルメニア民謡の音源や楽譜等を一挙に紹介しているサイトが他にもあり、その中にも《アルメニアン・ダンス》に使われた曲があります。あなたも一緒に「お宝探し」を体験してみませんか? 曲名の綴り(スペリング)で探しますが、綴りが微妙に異なる場合もありますので想像力を働かせてみてください。

 

まとめて音源

 Virtual Museum of Komitas

 

まとめて楽譜

 Armenian Folksongs (Vardapet, Komitas) - IMSLP

 104 Armenian Folk Songs (Arakelian, Grigor) - IMSLP

 Chants Populaires Arméniens (Boyadjian, G.) - IMSLP

ニュース・近況

 

12月10日 コバケンとその仲間たちオーケストラ 史上最高の第九に挑むVol.4に出演予定です(東京)

 

6月25日 コバケンとその仲間たちオーケストラ第86回演奏会に出演予定です(東京)

 

6月23日 10年に及ぶ準備を経て、このたび『アルフレッド・リードの世界 改訂版』が刊行されました。どうぞよろしくお願いいたします。

 

4月23日 真島俊夫メモリアルコンサート"natal"2023(山形県鶴岡市)に出演しました。

 

4月15日 全音スコア、ブラームス《ヴァイオリン協奏曲》が発売されました。楽譜制作担当です。

 

2023年

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1月25日 アルフレッド・リードが生誕101年を迎えました。

 

1月15日 全音スコア、リムスキー=コルサコフ《スペイン奇想曲》、全音ピアノライブラリー『マスネ:ピアノ小品集』が発売されました。楽譜制作担当です。

 

1月8日 『バンドジャーナル』2022年2月号の「コンサートレビュー」にオオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ第139回定期演奏会の報告を書きました。

 

2022年 明けましておめでとうございます。平和な日常が戻ることを祈るばかりです。

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12月15日 全音スコア、ドリーブ《組曲 シルヴィア》が出版されました。楽譜制作担当です。

 

11月15日 全音スコア、ムソルグスキー/リムスキー=コルサコフ編《はげ山の一夜》が出版されました。楽譜制作担当です。

 

8月8日 『バンドジャーナル』9月号が発売されました。「バンドミュージックレパートリー」を担当。アルフレッド・リードの名曲を取り上げました。

 

8月5日 タワーレコード/ブレーン株式会社製作のCDアルバム『「エルサレム讃歌」—アルフレッド・リード讃!』が発売されました。当面タワーレコード限定販売です。

 

6月15日 全音スコア、ドリーブ『バレエ音楽 コッペリア』(15曲抜粋)が出版されました。楽譜制作担当です。手書きの底本と作曲者の自筆譜を見比べながらの困難な作業でした。世界的にも珍しい出版です。

 

5月2日 A. リード音の輪コンサートに出演しました。多数のご来場、誠にありがとうございました。

 

4月15日 全音からサン=サーンスの『ヴァイオリンのための小品集』が発売されました。楽譜制作担当です。「従来出版がなかった幻の楽譜も収めています。」

 

4月9日 『バンドジャーナル』5月号の「特集 生誕100年!! アルフレッド・リードの世界」にさまざま掲載していただきました。

 

3月15日 全音スコア、シューベルト『交響曲第9(7)番 グレート』が発売されました。楽譜制作担当です。

 

3月6日 『父・バルトーク』が好評につき重版となりました。おおむね初版通りですが、微細な修正と補記が入っています。今年はバルトーク生誕140周年ということもあり、引き続きご愛顧をよろしくお願いいたします。

 

1月27日 朝日新聞山形版&デジタルにご紹介いただけました。

 

1月15日 全音スコア、ベートーヴェン『ピアノ協奏曲第3番』が発売されました。楽譜制作担当です。

 

2021年 新型コロナが収束しませんが、リード生誕100周年が始まりました。

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